試合前夜

明日が近づくほどに

きみの目が まっすぐになる

部屋のすみに置かれた防具袋

磨かれた面と 静かに立つ竹刀

何も語らなくても

その姿が すべてを語っている

声をかけようとして

そっと言葉を飲み込んだ

「がんばって」も

「負けてもいいよ」も

どこか軽く響いてしまいそうで

私はただ

夕飯を少し多めに盛って

お風呂をあたためて

明日の朝 起こす時間を気にして

……それくらいしかできないけれど

願っているよ

一番いい一本が打てますように

悔いのない立ち合いができますように

勝っても負けても

きみが自分を誇れるように

眠るきみの顔を見ながら

明日もまた

強くなる一日になると

信じている

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