親子で歩んだ剣道 ― 竹刀がつないだ時間 ―
最初は、小さな背中に防具をつけるだけで精一杯だった。
面も重く、竹刀も長すぎて、
ふらふらしながら打ち込んでいたあの日のきみ。
でも、いつしか
その構えに、気迫が宿り
その足さばきに、意志が見えはじめた。
父として、母として
ときに厳しく、ときに言葉を飲み込みながら
ただ、そばで見てきた。
竹刀を握るきみの姿に、
かつての自分を重ねたり
もう届かない速さに、誇らしさと寂しさを覚えたり。
試合に負けて、泣いた夜もあったね。
勝っても、納得できずにうつむいた日も。
でも、剣道は
勝ち負けを超えたところで
人を育てるものだと、
きみが教えてくれた気がする。
親子で向かい合って打ち合った日も、
同じ道場に立った稽古の日々も、
何気ない送り迎えの車のなかも、
全部、かけがえのない「剣道の時間」だった。
きみがこれから、どんな道を選んでもいい。
でも私は願っている。
礼に始まり、礼に終わる心だけは
これからも、きみのなかに残り続けてほしいと。
竹刀がつないだこの絆は、
いつまでもまっすぐに、
静かに、きみと私のなかに生きている。
0コメント